秘密

『秘密』は数年前にドラマでやっていたのを何度か見たことがあり、最近になって急に思い出して原作を読んでみたくなった。
いちおう最後のオチまで知っているのだが、さっそくブックオフにて購入。

東野圭吾の作品初体験となりました。

文庫本の帯にドラマの配役、志田未来と佐々木蔵之介の写真が載っていたため、読んでいる最中は終始、この2人で内容が脳内再生されました!

すごくほっこりもするし切なくもなる作品。
3,40代のおっさんに是非読んでみてもらいたくなる内容です。

だんだんズレていく2人の価値観。
ひとり取り残されていく焦燥感。
孤独から生まれる不信感と暴走。

そして、ひとつの決意

心理描写が上手く、思わず感情移入してしまいました。
自分、子供も居なければ結婚もしてませんがね(*´Д`)

作品自体は15年も前のものですが、当時学生だった自分が読んでもさっぱり何も伝わってこなかったと思う。

この歳になって読むことが出来てよかったと思います(・∀・)

以下ネタバレ含みます。

作品の終盤、藻奈美の意識が復活してからが、だいぶドタバタだったように感じる。

目を覚まして、体のっとって、結婚する、まであっという間で感動シーンがちょっと薄れた。
直子のほうが消えるまでがね、もっとゆっくりでも良かったかなぁと(´・ω・`)

んで、この作品のオチは
「藻奈美の意識は復活しておらず、直子の演技だった」
ということになるのだが、あまり納得いかない(`・ω・´)

やってやれないことはないが、急にそんな一人二役などやるのは難しい!!
だから、最初のほうは藻奈美を小出し(眠っている時間を長くする)にして、だんだん藻奈美バージョンを長くして慣れさせたのかもしれない。

でも9年間だ。
藻奈美を演じてから、結婚するまでの間の9年間。
ボロを出さずに演じ続けるのはすごく難しいと思うし、何より精神的にもキツイものがあると思う。

自分で自分は藻奈美であると言い聞かせ続け、以前と同じようには接してはもらえない夫と生活を続けるのは非常にツライだろう(´・ω・`)

そこで自分的には、二重人格ということで納得させた(`・ω・´)

これは作品中に藻奈美が言っている二重人格とは違い、
藻奈美の中に母親直子の人格がいるのではなく
直子の意識の中に藻奈美の人格が形成されていたのではと思っている。

小学後半から高校生活まで藻奈美として人生を歩んでいた直子の中には藻奈美の人格が生まれていた。
母親としてそれまでの藻奈美を知っている直子は、自分の中に藻奈美の幻影を作り出していたのだ。
それは今まで表に出ることはなく、直子本人も気付かなかったが、平介の決意を聞き精神が不安定になったことで、外に顔をだすようになった。
そして直子の中での藻奈美の割合が大きくなり、直子の中の直子の人格が消えてしまったのである。

つまり直子が藻奈美を演じているのではなく、直子の中の藻奈美の人格が現れるようになっただけである。

そう考えると直子がいなくなるシーンも、直子が直子を最後にしようとしたのではなく、本当に藻奈美の人格によって直子が消えてしまったことになり、ちょっと悲しくなってくる(´;ω;`)

ただ、一般的に言われているオチも、自分の推論も考え詰めると
『直子の人格が演じている藻奈美の人格』ということで大差はない。

それが意識的かどうか、というだけだが結局どちらも藻奈美としての人格しか持たないのだから変わりないと思う。

あと、自分の推論だと指輪のくだりがちょっと合わなくなるが、直子と藻奈美の交換日記にそんなかんじの内容が書いてあったのかもしれない、と都合いいように解釈。

ちなみにドラマの場合は花嫁藻奈美が直子らしさを見せるので、これは明らかに直子演じる藻奈美である。
原作では花嫁藻奈美と平介とのやり取りはほとんどない。
平介が自分で自分を納得させただけで、直子が生きているという確信はどこにもないままだ。
いわゆる読者のご想像にお任せします、的なラストなんだと思う。

そして、原作では平介がお婿さん殴らないまま終わった(´・ω・`)

そういえば映画もやってたのか。
しかもドラマよりもっと昔に。。。
ブルーレイ化もされてるようなので借りてみようかな(´・ω・`)

しかし広末か。。。

PS.
頭では理解しているのだが文章に書くとこれほど難しいとは(*´Д`)
直子・藻奈美の文字ばかりじゃないか!!

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