カラスの親指

DVDで映画を借りてみた後で、文庫本の小説を購入!
映画を見終わった時には、あまりインパクトは残らなかったのだけど、
しばらく経ってからブックオフでふいに目にとまり思わず買ってしまった(・∀・)

いくつか違いはあるものの大筋は既知のため、さらさらと読み進めることが出来た。

小説を読んでみると、映画の配役がすげぇピッタリだったなぁと感じた!
(映画→小説の流れで見たからかもしれないが。。。)
阿部寛のタケさん、これは文句なしではまり役でしょう。
村上ショージのテツさん、最初は喋り方とかにすごく違和感を感じたけど
役柄を考えるとこの人選もアリなんだなぁと。

貫太郎に限ってはもっとデブで良かったかもしれない、雰囲気はすごく合っているが・・・

以下ネタバレを含みます。

『衝撃のラストには、衝撃のウラがある』のキャッチフレーズが気になって
「騙されないように・・・」という意識を持ちつつ見てしまっていた。

んで、その結果「アルバトロス作戦のことかー!!」って感づいた訳なのですが
実際そうではなくって、もっと根本的などんでん返しだった。

正直、おもしろかった。

終わった後の感想として「ほっこり」という表現がとてもしっくりとくる。

小説の「ミスリード」も面白い。
序盤の銀行での竹沢のイラツキは、詐欺中に支店長が現れたことに対して、
と思わせといて、実はテツさんのセリフが間違っていたことに対してだった。

アルバトロス作戦中の異常事態は、貫太郎がピストルで脅したこと
ではなくて、立ち位置が誤った状態でピストルを抜いたこと。

映画でもこの辺りがうまく表現されていて見ていて楽しい。

一応、みんな幸せな一歩を踏み出し、めでたしめでたし(?)なストーリーなのですが、
あまりにも上手く行きすぎている感が否めない。

それがすべてテツさんの大掛かり詐欺だとしても、やはり上手く行き過ぎている。

ファンタジーではなく、一般的なミステリーや現実社会を舞台にしている作品だと
そのストーリーが現実的がどうか実現可能かどうか、というところで評価が大きく別れる。

『犯人は東京から大阪までテレポーテーションして被害者を殺したのです。』
推理小説ーのネタバレがこんな感じで警察の口から語られたら「ハァ?」となるだろう。
要するになんでもアリな状態になってしまう。

そこまで極端ではないが、カラスの親指にも無理がチラホラとある。

例えば、まひろがタケさんの家に転がり込むところだけでも、結構な運が必要である。

1.テツさんがポスティングしたチラシを見る
2.チラシを見て上野に行く
3.上野でがきデカにスリを働く
4.逃走中に障害があり、助けられる
5.竹さんの家に行くことを決意する

以上全てが予想通りに行かないと、その先も成り立たなくなる。

当然、その日にチラシを見て上野に行くとも限らないし、
をがきデカをスリのターゲットにするとも限らない。
逃走中に助ける場面もなく、上手く一人で逃げ切ってしまうかもしれない。
そして一応お金はあるのだから、わざわざタケさんの家に行かないかもしれない。。。

こんなに上手くいくものなのか??

タケさんとテツさんの出会いに関しても、同様に上手く行きすぎである。
テツさんの鍵屋を呼ぶとも限らないし、身の上話も聞かず警察に出される可能性だってもしかしたらあった。
詐欺師が警察に頼るはずがない、という読みなのだろうが、それが当たるとも限らない。

テツさんは思い通りに上手くいくように根回しをしているだけなのだが
それがことごとく上手く行き過ぎている。

そして何よりも劇団員が優秀過ぎる。
テツさんはほとんどタケさんと一緒に居たはずなのだが
どこでここまで劇団員に仕込むことができたのだろうか。

しかも劇団員を買収してからアルバトロス作戦まで数日しかない。

で、ここまで書いてて気付いたのだが
映画版のヒグチ一味は本物なのだろうか。

小説版ではヒグチ一味は劇団員である。
だから演技ミスの心配以外は、特には安全である。

しかし映画版では劇団員であるという描写はない。
竹沢もヒグチの顔を覚えていることから、本物のヒグチなのだろう。
ということはテツさんは、娘らとともに本物の暴力団事務所に乗り込んだことになる。
果たして親が自分の娘にこんな危険なことをさせるだろうか。。。

このあたりも踏まえ、どうも上手く行きすぎている感が強く
しっくり来ない気持ちが残ってしまった(´・ω・`)

ラストシーンは小説のほうが良い。
中年オッサン達のやり取りになぜかニヤけてしまった。
--答えを期待しつつ「サクラは英語でなんて言うんだ?」

最後に
小説も気に入ったけど、どちらかというと
映画のキャストが創りだす雰囲気・世界観に惹かれたようだ(・∀・)

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